内村鑑三


KANZO UCHIMURA (1861-1930) 

『求安録』、結語

それでは私は何者ですか、
夜が暗くて泣く赤ん坊です。
光がほしくて泣く赤ん坊です。
泣くよりほかに語ることがないんです。

矢内原の解説

 「泣くよりほかに語ることがないんです」、「夜が暗くて泣く赤ん坊です」、と言うのが、あの人生の激しい70年の戦いを戦い抜いたまことの預言者、まことの愛国者、まことの福音の使徒として働き抜いた内村鑑三が、最後に神様に対して、ただ祈るだけ、泣くよりほかに語ることがない赤ん坊としてこの世を去りました。これが彼の力の秘密でありました。彼の戦闘力の秘密でありました。彼の愛の秘訣であり、そして彼が私たちに残した最大の教訓であると私は信じるのです。

(全集24:595)