『求安録』、結語
それでは私は何者ですか、 夜が暗くて泣く赤ん坊です。 光がほしくて泣く赤ん坊です。 泣くよりほかに語ることがないんです。
矢内原の解説
「泣くよりほかに語ることがないんです」、「夜が暗くて泣く赤ん坊です」、と言うのが、あの人生の激しい70年の戦いを戦い抜いたまことの預言者、まことの愛国者、まことの福音の使徒として働き抜いた内村鑑三が、最後に神様に対して、ただ祈るだけ、泣くよりほかに語ることがない赤ん坊としてこの世を去りました。これが彼の力の秘密でありました。彼の戦闘力の秘密でありました。彼の愛の秘訣であり、そして彼が私たちに残した最大の教訓であると私は信じるのです。
(全集24:595)