矢内原の芸術論
絵には韻律(いんりつ)があります。これは私にとって始めての大発見でした。絵と音楽と詩と、すべて韻律です。いや、学問さえも韻律です。世界は韻律で満ちています。生命は韻律そのものです。 ・・・・ 画家は対象の真をつかみだして、これに形の整った表現を与えようと努力します。芸術の美は真実に形式的表現を与えることであり、真を離れて美はありません。いや、美というのは真の芸術的名称に外ならないのです。このように真理を探る学問と美を探る芸術とは親を一つにする姉妹であり、その親とは父なる神に外なりません。
(全集13:53)