【 本の紹介 】

 北欧ノルウェーの一粒の麦 農民平信徒伝道者 

ハンス・ニールセン・ハウゲ その縁の地を訪ねて 」

愛農学園農業高等学校 校長 直木葉造

愛農学園農業高等学校の歴史における初期の頃には海外農家実習が実施されていま した。西欧スイスと北欧ノルウェーでの実習です。

スイスでの実習は1期生の時から開始され、ノルウェーでの実習は7期生の時から 始められました。スイス・東アジアミッションの関係者、ノルウェー・ルーテル伝道団、他の諸伝道団の関係者の方々のお世話で実現に至った ものです。その後、残念ながら海外農家実習は諸事情により24期生を最後に終了しました。スイスへは1期生から22期生まで、ノルウェー へは7期生から24期生までの中で、これらの国の農家での実習に興味関心、意欲のあった方々が参加しました。

本校の初期の歴史においてスイス・東アジアミッションの関係者の本校教育への具 体的ご支援・協力、途中から加わって下さったノルウェー・ルーテル伝道団、他の諸伝道団の方々のご支援・協力、そして愛農生のために長期 (約1年間)農家研修を受けて下さった両国の農家の方々のご協力により、多くの本校の生徒が若き日に貴重な人生の研修の時を与えられたこ とを思う時、その有り難さを改めて強く感じ、感謝の思いは溢れます。

今回、北欧ノルウェーの近代史に重要な足跡を残した人物ハンス・ニールセン・ハ ウゲ ( 農民信徒伝道者 ) に関する本について紹介します。これは実習でお世話になった国、お世話になった農家の方々の歴史的背景を知る参考になる人物伝です。

ハンス・ニールセン・ハウゲは農民平信徒伝道者です。彼は南東部ノルウェー(愛 農生がお世話になった主な地域は彼の生誕の地近郊なのです)の小作農の息子として1771年に生まれました。当時ノルウェーはデンマーク の一属州でしたが、地理的に北に位置し気候等あらゆる点で生活するには厳しい国で、特に経済的には貧しい国でした。しかし、一農民の出の 初等教育しか受けていなかったハウゲは、自分に与えられた聖書の信仰を伝える者となったばかりか、農業を含めた様々な産業の発展のために 貢献し、後の人々が彼をノルウェーの恩人とまで思うようになった歴史があるのです。ノルウェーの社会は、その後多くの人々の働きで精神的 にも経済的にも変化・発展し、今日ノーベル平和賞を授与する大役を担う重要な国となったのです。

 

( A4 約400頁 写真等カラー、 私家版 非売品、入手ご希望の方は

「あいのう研究所事務局」にお問い合わせ下さい。まだ在庫がありお分けできま す。 )

この本の筆者である直木自身は、愛農高校に2000年4月に赴任する以前、 1993~96年まで家族を伴い聖書の語る真理である信仰の伝道と聖書に基づく教育の研究のためノルウェー(とデンマーク)に留学し、両 国の信仰に立ち教育を実践してきた諸学校(小規模・全寮制の私立の農業高校を含む)を個人的に訪問し研究してきた者です。

愛農高校はこれからの歩みにおいて西欧スイスとノルウェー(とデンマーク)を中 心とする北欧の方々と、生徒・保護者・教職員・同窓生・愛農関係者との交流が復活、又は、新たに生み出されていくことを願っています。筆 者は近い時期に先ず本校とノルウェーのキリスト教主義全寮制農業高校との間での学校間交流を始めるため、昨年夏(20019年度)8月 23日から9月7日までの約3週間ノルウェー(とデンマーク)に渡り、以前に訪問したことのある諸学校を再訪し今後の相談をしてきまし た。