吉田平さん

吉田平さん

 

僕は今から20年程前、34期生として愛農高校に入りました。全寮制のこの学校ではみんなで寮生活をします。教室での勉強に農場での農作業、部活、学園祭などの行事、そして寮での生活。仲間と共に過ごしたここでの3年間は、なにものにもかえられない時間です。
なかでも、毎日の食事は本当に素晴らしいものでした。キリスト教と有機農業を根幹としたこの学校では、実際に有機農業を行っており、毎日の食事にはこの農場で生産された食材が使われます。仲間と共に愛をこめて育てた食物を、調理の職員と生徒が愛を込めて料理したものを食べる。みんなで育んだ命を食べて、みんなの命を繋ぐ。仲間によって自分が生き、自分によって仲間が生きる。それは愛の行為です。
教室で勉強し、農場で働き、部活で汗を流したあと、仲間とともに笑いながら食べるご飯のなんと美味しかったことか。もちろん材料は新鮮そのものです。
掘りたての人参は土の香りがし、搾りたての牛乳は甘く、生まれたてで作るゆで卵の殻はぜんぜん剥けない!

 

また、ここでは多くの人たちと深い関係を作ることができました。それは寮で寝食を共にしたからこそです。とくに34期のみんなとの友情は本当にかけがえのないものです。いまこうして離れていても、家族のように感じています。
毎晩のように夜中まで話しあったり、こっそり寮を抜け出して星を見たり、ラグビーの試合の後で女子が作ってくれた弁当をみんなで食べたり、先輩に怒られたり、ケンカしたり、恋をしたり、嬉しいことや悲しいこと、楽しかったことや苦しかったこと、本当にいろんなことがありました。あれだけあっという間でしかも長い時間はありませんでした。その記憶はどんな時にも、僕の心を深いところからあたためてくれます。
僕は、北海道にあるレストランで料理人として働いていますが、食べるということに関わって生きていることを嬉しく思います。それは毎日の食事に愛がある、そうシンプルに感じられる愛農高校での生活があったからだと思います。