長野友哉(53期) 働き方と生き方

2018年度 校内意見発表
働き方と生き方
3年 長野友哉(53期)


                
私は「仕事と生き方を分けたくない!」愛農高校で過ごす中でそう思うようになった。
なぜかと言われれば、高校で出会った大人の影響が大きいのだと思う。愛農で出会った先生方は実際に仕事と生き方を分けていないように見える。愛農の環境もあるとは思うが先生の経験や家族の事を話し、生徒の話も真剣に一対一の関係として聴いてくれる家族の様な仲なのだ。

 

先生だけでなく愛農にいる中でも色々な人の生き方に触れる事が出来る。先生をはじめ地域の方、愛農でつながっている人たちだ。僕の趣味に珈琲がある。高校内で月に一回ほど生徒主体で行っているカフェがある。そのカフェのイベントで生徒数人と地域の珈琲屋さん協力の下にコーヒーの提供や知識や淹れ方を説明するワークショップを行う事が出来た。また、自分たちの考えたブレンドを自分たちで焙煎し、ひとつの商品を作り出すことができた。

 

自分たちで一から「どうしたらお金を頂き自信をもって売ることができるか」を考え、商品に価値を付けていくことの難しさを経験した。珈琲ひとつとっても買う人が手に取るまでにたくさんの考えや思いが詰まっていることを知った。私は世の中に溢れている商品の中には作る側の思いや考えの厚さ薄さというものが存在していると思う。

その店に並ぶまでの見えないところでの質が高ければ高いほど、作る側、買う側にとっても満足する時間を共有出来るのだと思う。初めてのワークショップではお金を頂き自分の経験や知識を話すのは、責任が伴うだろうし良い時間を共有しなければならないと緊張していた。しかし、それは経験によって培われていくものだとも知れた。上手に説明できず失敗したと思っていたが、地域から参加しに来て下さったあるおじさんがとても褒めてくれた。

 
「若いのにすごいよ、君の珈琲への思いが伝わったよ」と。私は正直、とてもうれしかった。と同時に良い時間を共有できたのかと。きっと味が美味しいのも大事だがそれよりも提供するまでの見えない部分を少しでも分かち合えた事が美味しさや充実した時間をかき立ててくれるのだろう。このイベントを通してお金というものはその人の信頼や感謝を表す存在なのだと感じた。

 

この様なお金を頂いてそれに見合ったものを届けていく必要があるのは私が将来、仕事にしたいと思っている農業にも当てはまる。近年、未来の地球のことを考え地球への負荷を減らしていこうという農法が世界的に広まっている。私が愛農で学んでいる有機農業も農薬や化成肥料を使わないため環境への負荷が少ないと言われている。しかし有機農作物はそれらの使用を控えるため、虫がつきやすく農作物の形が不揃いになりやすかったりなどのリスクがある。
そのため消費者の方も届いた農産物が出来るまでの農薬や化成肥料に頼っていない、という見えない部分を理解していないと価値を見出しにくいのだと思う。そのため生産者は努力や思いを込め農作物を生産する事で消費者と価値を共有する事が出来る。その反面、農作物への思いがなく投げやりの仕事は消費者にも伝わり手元に届く農産物の質も落ちる。そこから得られる仕事への充実感はないだろう。

 

私は自分たちで食べるために友人と小さな畑で野菜を育てている。
その畑は自分たちが持っている習った知識や使えそうなアイデアを取り入れてやっている。野菜たちは正直なもので自分たちが手をかけた分だけ結果がでる。野菜にとって手をかけたことが良く働けばその通りよく成長するし、野菜にとって良くない事だと何かしら問題が出る。きっと、農業は他人事に出来ない仕事であり嘘の利かない仕事だからこそ働き方と生き方がつながりを持つのだと思う。

 

私は家族でする農業をすることに憧れを抱いている。自分は愛農に来るまで人口が多く自然とはかけ離れたところに住んでいた。また、親のやっている仕事もあまりわかないままだった。そんな魅力のない生活を送る中で自分は自然豊かな所に住み、自分が食べるものは自分で作るそんな暮らしがしたいと思うようになった。

 

これからも色々な人の生き方に触れ、どう生きるか模索し、いつか働き方と生き方のつながる暮らしを叶えたい。