「シオンの娘に告げなさい、あなたたちの王が来ます。その方は柔和でくびきを負ったロバに乗って来ます」。弟子たちはイエスが命じた通りロバと子ロバを引き連れて来ました。イエスは、弟子たちが上着をかけたそのロバに乗りました。象徴(しょうちょう)的行動
軍馬でなくロバです。戦争でなく平和です。ごうまんでなく柔和です。イエスがロバに乗って都に入られたのは、自分が国民待望のメシアであること、その方法は平和、その性格は柔和であることを、言葉でなく行動によって宣言されたのです。昔預言者イザヤが三年の間はだしでエルサレムの町を歩んだり(イザヤ 20: 2-4)、エレミヤが徳利(とっくり)を壊し(エレミヤ 19:10)、くびきを首にかけ(エレミヤ 27: 2)、大石を地に埋め(エレミヤ 43: 9)などしたに類する象徴的行動であります。言葉をもっては現わしがたい思いを行動に託したものでありまして、きわめて印象深い効果的な教訓の方法であります。それ自身が深い詩であります。「私はイスラエルの王であり、真の救い主です。私にふさわしき柔和な心、砕けた霊(たましい)をもって私を迎えなさい。シオンの娘よ、これがあなたの最後の機会です。信じて救われなさい」。口にするには、あまりに感慨無量(かんがいむりょう)だったのでしょう。イエスは、ロバに乗られた自らの姿によって、これを民衆に告げられたのであります。