「群衆たちがかわいそうです。もう三日間も私と一緒にいて何も食べるものがありません。もし、彼らを空腹のまま家に帰したら途中で弱り果ててしまうでしょう。中には遠くから来ている人もいます」。

（マルコ 8: 2-3）

　奇跡が行われるには三つの条件がいります。イエスの愛、人の信仰、並びに神の国の真理を教えるための一般的必要です。イエスの愛が高まり、ほとばしり出て、人の側からイエスを見上げた、せつなる信仰と出会って、ピタリと焦点が一致した時、イエスの能力は奇跡的に、すなわち奇跡となって人に伝わります。イエスに愛が動かなければ能力は出ず、人に信仰がせつでなければイエスから能力を引き出すことはできません。両者の合った時に奇跡は行われるのです。　・・・　しかしイエスが奇跡を行われるにはいま一つの条件があります。それは神の国の重要な真理を教えるために、言葉をもっては足らない場合です。イエスは奇跡屋ではありません。彼は必要な場合にのみ奇跡を行われたのです。そしてその必要とは神の国のための必要です。私たちもこの点に留意して、奇跡の現象そのものに惑わされることなく、奇跡の意義をあまりに私的・個人的に解することは避けなければなりません。

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