それからイエスは御霊(みたま)によって荒野に導かれ、四十日四十夜、断食をし、空腹を覚えました。するとサタンが試みました。荒野のイエス
イエスは「神の子」であるとの天来の声を耳にしました。しかし自分で良く考えてみなければなりません。自分自身について神様から受けた啓示が大きれば大きいほど、ほとんど反射的にこの世の活動、世間の表面から身を引いて、自分の心の状態をしらべ、はたしてその啓示に値するかどうかの確信を得なければなりません。私は神の子だ、一つ大いにやってやりましょう、などという浅薄(あさはか)なものではありません。イエスは自分が神の子であると言う声を聞いて、居ても立ってもいられず、親近の人を避けて荒野にかくれ、四十日四十夜けものの住む荒野に居て、静思(せいし)の時を過ごしました。けものが居たことは、何物も居ないよりもいっそう寂(さみ)しさを増したのであります。