3 月 2 2 日
春三月
私の愛する人の天に召されたのは
春三月のうららかな日でした。
その日、にわかに黒雲がわき起こって、
孤独の私をつつんでしまいました。
悔恨(かいこん)と悲痛がわきあふれて、
抑える力がありませんでした。
しかし黒雲がやや薄れて、あわいかなしみの霧となり、
その水滴(すいてき)の幕のかなたに、
春の陽のかがやく時が来ました。
私の愛する人の墓は、天国の入口に立ちます。
そこからハシゴが天に直通し、
御使いたちが昇り降りしました。
父なる神の教えを私にもたらし、
私の祈りを父にたずさえ上るのです。
墓の彼方に光る陽は、その光をその方に投げ、
重き荷を負ってこの世を歩む、
私の足もとを照らします。 ・・・
私の愛する人の墓に、柳の木を植えましょう。
秋風がさらさらと吹けば葉ははかなく空に飛びますが、
春三月の日を受ければ、青い葉は羽衣のように、
私の霊(たましい)を飛翔(ひしょう)させて、
愛する人の国にみちびき、
復活の希望に息づかせます。 ・・・
私の愛する人の召されたのは、
私を力強く生きらせるためでした。
私の心はこの世にありません、
しかし、私の足はこの世を歩みます。
復活の希望は私の心を高くし、
復活の希望は私の足を軽くします。
復活の希望はイエスの墓に芽生え、
私の愛する人の墓に花咲き、私の墓に実るでしょう。
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