7 月 2 日
キツネには穴が、空の鳥には巣があります。しかし人の子には枕する所がありません。

マタイ 8:20

異郷のさまよい

 ああ、はるばる来たものです。パリサイ人の悪意とヘロデの敵意を避けてゲネレサを去り、十二弟子を伴って異郷(いきょう)の旅に出てから、北に上って遠くフェニキアのツロ、シドンまで、それから東にまわってデカポリスに出て、南に下ってガリラヤの海辺に立ち、ダルマヌクに渡り、また北に引っ返してベツサイダ、さらに北上してピリポ・カイザリアまで、ずいぶんとさまよったものです。今この異郷の町に立てば、私の思いは遠くエホバの宮が建つエルサレムに行きます。私はエホバの使命を受け、イスラエルの救い主(メシア)として使わされたのです。しかし私の民は私を受けず、かえって私の命をねらっています。私はわずかに十二人の弟子を伴って、異郷の空をさまよい歩いています。空の鳥には巣があり、キツネには穴がありますが、人の子には枕する所もありません。そして涙のみ昼夜そそぐ私のかてなのです。ああ、エルサレム、エルサレム。あなたの救いのため、私はどれだけのあざけりと苦しみを与えられ、孤独(こどく)と悲哀(ひあい)をなめなければならないのでしょうか。そしてその末は不可避(ふかひ)に十字架ではないですか。ああ私の神よ、私はあなたに依り頼みます。私はただあなたに依り頼んで、私の十字架に進んで行きます。



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