物事の理(ことわり)は広く、また非常に深いです。だれがこれをとらえる事ができるでしょうか。学問と信仰
宗教的真理を科学の方法によって基礎づける事は出来ません。また反対に科学的真理を宗教の方法によって基礎づける事も出来ません。しかし基礎づける事が出来ないと同時に、互いにこれを否定する事も出来ないのです。宗教と科学は各々の分野において真理探究の使命を果たします。両者は敵ではなく、同時に両者を無理に結び付ける必要もありません。仮に科学の研究の到達した発見と宗教の把握した信仰とが直接関係ない場合、あるいは直接には相矛盾(あいむじゅん)するように見える場合であっても、何もうろたえる事はありません。真理は学問的知識および信仰的理解の両者を包容(ほうよう)し、しかもそのどちらよりも大きいのです。学問は学問として真摯(しんし)に続けなさい、信仰は信仰として真摯に続けなさい。その中にあるいは今の学問がすたれて新しい学説が起こり、あるいは今の信仰が深められてさらに純真とされる事があるでしょう。そうして終わりには学問と信仰とが決して矛盾せず、結局一つの真理を異なる角度より見ているに過ぎない事が解るでしょう。