偽善者たちよ、イザヤはあなたたちについて適切にもこう言っています、「この民は口先では私を敬いますが、その心は私から遠く離れています。人間の知恵を教えとし、空しく私を拝んでいます」。偽善とは
偽善者と偽善者でない人の区別は何でしょうかと考えますと、自分の理想としている、あるいは自分の主張している点と自分の実際との間に距離があるという事ではないようですね。 ・・・
偽善というものは善につかないで悪につく事です。それが偽善でしょう。自分の悪を当たり前として、悪を自分の実体と考え、自分の罪とか自分の悪とかを自分の姿であると考え、ただ場合によって便宜上善を唱える事が偽善者でしょう。これに反し偽善者でない人、真理を求めている人は善を自分の立場とします。善を立場とし、真理を立場とし、それが自分の本来の姿、人間の本来のあるべき姿であるとします。それゆえ自分の実際がその姿に及ばなければ、自分の実状がとても貧弱であるという事を嘆くのです。偽善者には真理に達する努力も、それから真理に到達する力が及ばないという嘆きもありません。 ・・・ 偽善者が善を説く時には自分の利益を達するための手段として説くのですから、すべて偽りです。それに対して善を愛する人が善を主張する時には、他人を教えているときに同時に自分を教えています。人間というものに向かって善でなければならない事を呼びかけているのですから、それは偽りではありません。自分の善に及ばない事を嘆いているのです。