大きなやぐらに火が灯る
暗い闇夜を切り裂く様に
ゴゥゴゥパチパチと音を立て
火の粉を空に高く巻き上げる
今夜で全てが終わる
今までの愛農祭の準備にかけた忙しさや、この三日間に働き続けた時間を忘れるかの様にやぐらの周りに集い歌に合わせ踊り回る
どれだけ忙しかったって
どれだけ嫌な事があったって
どれだけ満足するものが出来上がらなかったとしても
彼らが頑張り、踏ん張っていた姿を知っているからこそ
彼らがこの三日間を楽しみきって
今日この時を迎えていられることに感慨深いものがあります
頑張ったからこそ
楽しめたからこそ
最後まで愛農祭を楽しみきれるのかな
校舎の間、グラウンドに抜ける場所に置かれた竹の灯籠
写真では弱々しく地味ですが、揺れ動く蝋燭の光は優しくそこにあります
キャンプファイヤーの始まりはファイヤートーチトワリング!
この一瞬に向けて練習を重ねていましたが、実際に火を付けて回す様子は大迫力でした。
炎が風を切る音に驚き、炎が残す火の輪が美しく見えました
音楽を流し、火のついたやぐらの周りを歌いながら回り
ゲームの時間にははしゃぎまわり
楽しい時間はあっという間に過ぎていきます
火の周りに座り込み三年生の一人一言を聴く時間
彼らの過ごしてきた時を思う
彼らが積み上げてきたものは、一個一個はとても小さくて意味のない事に感じるかもしれない
だけどそれは近くに寄りすぎてて、本当はとても大きい事をしていたと気が付かなかっただけ
気が付いたら小さなものが、大きな形を成して
自分たちの立っている場所となり
自分たちの関係となり
自分となっている
その様子は彼ら自身には今まで見えてなかったのだろうけど
その努力も挫折も困難も喜びも見てきて誇らしく思う
最後にみんなで歌った「オワリはじまり」
「もうすぐ今日が終わる
やり残したことはないかい
親友と語り合ったかい
燃え上がるような恋はしたかい
一生忘れないような出来事に出会えたかい
かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい
またすぐ明日に変わる
忘れてしまっていないかい
残された日々の短さ
過ぎ行く時の速さを
一生なんて一瞬さ
命を燃やしているかい
かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい
もうすぐ今日が終わる
もうすぐ今日が終わる
かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい」
ここにいる時には不満や後ろめたさや、全然納得のいかない事ばかり
だけど後になって、もしかしたらだいぶ後になってから
振り返った時にかけがえのない時間になっているかもしれない
それは自分が主役となって頑張ったからではなくて
誰かと手を取り合い、誰かを支え誰かに支えられた時だったからこそ
かけがえのない時間になっていたと気が付くのかもしれない
〈ヤマハタ〉