資料請求

小谷純一記念会のゲストは「全農」の小里さん!

愛農創立者の小谷純一先生が天に召されたのが2004年の10月1日。その次の年から行われている小谷純一記念会は今年で20回目。毎年工夫を凝らした記念会が行われ、本人の動画や歴史を振り返ることもあれば、ゲストを読んで「これからの愛農」を考える時間にすることもあります。

面白いのは企画運営が毎年愛農会と愛農高校が交代で開催すること。まぁ愛農創立者の記念会なので当然と言えば当然なんですが、こういうのはいいなぁと思います。

さて、今年の記念会は愛農会主催。副会長で31期卒業生の添田さんの繋がりでJA全農鳥取県本部の小里司本部長にお越し頂きました。

愛農とJAはあまり関係が無いように見えますが、その仕組みや考え方はよく似ていると添田さんは言います。実際話を伺うと、ほんとによく似ている。詳しくは季刊誌愛農に掲載されるそうですが、協同組合というものは世界中にあって、その基本原則は「一人ひとりでは経済的、社会的に弱い立場にある生産者などが集まって助け合う組織」であり、「自立した個人が連帯し、助け合う(相互扶助)を基本に運営」され、協同組合の組合員数は全世界で約10億人にのぼるそうです。さらにその「協同組合の思想と実践」は2016年11月にユネスコ無形文化遺産に登録されています。

 協同組合と株式会社は多くの人から出資金を得るという共通点はあるものの、その大きな違いは手法もさることながら目的です。組合の目的は「組合員の生産と生活の向上」で株式会社は「利益の追求」にあります。組合は組合員1人1票制で、株式会社は1株1票制です。組合の合言葉は「一人は万人のために、万人は一人のために」で活動しています。

 当然組合員の減少による有利購買のメリットの減少や、JAなんて時代遅れという声もあるそうで、かつ生徒からも「利益を取りすぎているのでは」「生産者から安く買い上げているイメージ」など辛辣な質問も。その中で30年以上JA全農で改革を続ける小里さんは「JA全農だからこそしなければいけない仕事がある」として、世界で進んでいる「協同組合の株式会社化」の流れを説明してくださいました。現在協同組合は個人と強くつながっていることから、その形を利用して、グローバル企業が買収を進めています。JA全農も例外ではなくやはりオファー10年以上前から来ているそうです。しかしJA全農がするべき仕事は無制限の利益の拡大ではなく、あくまでも「相互扶助」を根幹にした一人ひとりが弱い立場である組合員のための経営であることに立脚することであると小里さんは主張します。

 その姿勢を添田さんは「各農村に生える大きな樹のような存在」「最初はJAなんてって思っていたけど、付き合えば付き合うほど好きになる。愛農とよく似ている」と評価します。小里さんのお話を聴いて、参加者中には「私達は農業界の99%に積極的にかかわろうとせずに1%の世界で右往左往していたようだ」という感想を寄せられた方もいたそうです。

 小里さん自身、過疎(という言葉が生まれた集落)の農家出身で現在も鳥取から3時間かけて実家の米作りをしているそうです。語ってくれる言葉もちゃんと本人の体験や思想に基づいていて、とても学びの深い時間となりました。

 こういう色んな人が「なんとかみんなで生きていこうぜ」っていうメッセージをいろんな形で発信してくれる小谷純一記念会は、形式ばってなくて愛農らしいなぁと思いました。小里さんは色んなとこで色んな活動をされています。関連記事や動画リンクも貼っておきますのでご覧ください。

関連記事 関連動画

[コンドウ]