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元農水大臣 山田正彦さん来る!

昨日は盛りだくさんでした。

全校で「食の安全を守る人々」を観ました。今食を取り囲む環境は劇的に変化しつつあります。食が人のいのちを育むものから、みんなが間違いなく買わなければならない「商品」になっている。簡単に生産できる作物はコストを下げることができ、多くの人はそれを歓迎する。しかし登場する生物学者は複雑系をもつ自然環境に、人間が何かを投入した時に、その結果がどう出現するか、その全貌は実際は分からないと言います。有機農業は安心安全美味しいことが保証されているとは限りませんが、農薬に含まれる化学物質による生態系や人間の神経系へのかく乱作用の効果は今やっと少しずつ明らかになりつつあります。

 ところが日本政府は農薬の残留値を従来の50倍以上にあげたり、商品表示を緩和していく方針を進めています。

 食は多国間関係や営利目的だけの上で簡単にその取扱いを変えていいのか。そんなことが元農水大臣の山田正彦さんをナビゲーターしたこの映画は訴えてきます。

 映画の後、山田正彦さんが登場します。

山田さんは五島列島出身。自身も畜産業を営んだ経験から、政界進出後に農林水産大臣を務めた方です。引退後は食の安全を守る観点から有機農業推進に取り組んでこられました。

アメリカのラウンドアップ被害を現地に取材。またヨーロッパや韓国など海外の先進的な有機農業の取り組みを視察。ヨーロッパでは福岡正信さんの「わら一本の革命」を、韓国では「愛農会」の名前を聞いたそうで、「日本は昔有機農業の最先端だった」と紹介します。今日本の有機農業は全農地の0.5%にも満たない現状ですが、「今やJAの組合長まで日本の農業が生き残る道は有機しかない」と言っていることを紹介し、僕らの背中を押します。

 「君たちが学んでいる有機農業の技術は貴重なんだ。これから有機農業をしようと思ってもみんなそのやり方がわからない。君たちの力がこれからの日本を作っていく。小さな子供たちの食の安全を守っていくんだよ」

「あるお母さんはダイソーの社長に手紙を書いた。オタクが扱っているラウンドアップには発がん性があると。そうしたら社長から手紙が返ってきた。そこには社長としてそんなことは知らなかった。申し訳ない。取り扱いをやめると。そして店舗からラウンドアップは無くなったんだ。」「今ラウンドアップを一番使っているのは鉄道会社。沿線の除草に使っている。そこで署名をしたんだ。そしたら近鉄はラウンドアップの利用をやめた。電話一本で変わることがあるんだ。だから君たちもやってみてほしい。」

 国会議員を含む28人の頭髪を調べたところ19人からラウンドアップの成分であるグリホサートが検出されたそうです。日々食べるものが体を作ることを学んだはずなのに、今や体を害さない食品を一生懸命探す時代になってしまいました。

 愛農も「自分たちは大丈夫」ではいけません。僕たちの取り組む農業と生き方は今最も必要とされているものになりつつあります。だからこそ、よりその農業を発信し、何を大事に生きていきたいかを共有し、技術を向上させていかなければなりません。

 山田さんの穏やかで深い語り口には期待とエールと叱咤と激励が一緒になって含まれていました。

午前中は伊賀市長と面談。農林振興部や愛農高校関係者も同席しました。

 こんな機会がちょこちょこ訪れる愛農の環境に感謝しつつ、自分たちに与えられたミッションの重さとその価値を改めて感じました。