鈴木 華子(50期)私がえらそうに言えることじゃないけど

2014年度 校内意見発表
私がえらそうに言えることじゃないけど
2年 鈴木 華子(50期)


私がえらそうに言えることじゃないけど、愛農学園に入学して1年たった今、日本社会の農業に対する目はひどいなとよく感じる。例えば、私の昔からの友人たちだ。私は千葉県の、周りには田や畑はない地域で育った。私の友人たちは、私がもともと普通科高校に通う予定だったのを知っていて驚くのもあると思うが、農業高校に通っていることを言うと驚かれる。確かに私は物のあふれている都会が大好きだし、流行もおしゃれも大好きだ。たぶん大人のよくいう「最近の若者は…」と言われてしまう部類なのだろう。そんなことは自分でもわかっている。

 

たしかにそんな私が農業をするのは意外だろう。そして、ほんとうに頭にくるのは、だいたいの友達が言ってくる、「農業とかまじひくわー」と言った言葉だ。いやいや「あんたこそひくわー」だ。もちろん言わないで関心を持ってくれる友人だっているが、大半の友人に私はそう言われた。
そういう言葉を聞くたびに悲しくなるし、本当に頭にくる。なぜなら彼らだって日頃、農家さんが作って下さったものを食べているに違いないからだ。例えば、みんなのたまり場になっているようなファストフード店のハンバーガーのバンズの小麦粉だって、中身の肉だって野菜だってポテトのジャガイモだってそうだ。家に帰ってから親が作ってくれる肉じゃがだろうがハンバーグだろうが何だって大抵そうだろう。

 

もちろん、農家さんがいらっしゃらなかったら私たちは生きていけないだろう。食べるものがなくなってしまうのだから。本当に何様だと思う。
こんなふうにえらそうに言っている私も昔は同じことを考えていた。でも私は、愛農学園に入学してさまざまな経験をさせていただいた。例えば、1年生の時の農家実習。1週間農家さんのお手伝いをさせていただいた。ついさっき収穫した野菜を袋詰めして直売にもっていきお客さんに売ったり、レストランに卸すための野菜の箱詰めをしたりするのを体験し、農家さんは沢山の人の食につながっていると感じた。また、私は2年生になり作物部を専攻することになった。

 

作物部では無農薬での栽培に取り組んでいて合鴨農法を行っている。1年の、まだ作物部でなかった頃は、「合鴨って便利だなー」ぐらいにしか思っていなかったが、田の中を歩き回っての合鴨のエサやりだけでなく、害獣などから合鴨たちを守るためのネット張りやテグス張りを何時間もかけてやり、そんなことを知るよしもない合鴨たちの脱走を阻止したりしているうちに、「安全なお米を作るのはこんなにも大変なことなんだ」と思うくらい合鴨農法は大がかりなものなのだと知った。

 

また、冬には何度も堆肥を田んぼに運んだ。動物たちの排泄物や、普通ならゴミになっているようなものでも循環させていることに驚き、お米もいろいろな動物とつながっていることを知った。このような経験をしていなかったら、今でも友人と同じようなことを私も言っていたのかもしれない。今、友人と同じような考えを持っていた昔の私を恥ずかしいと思えているのは、本当に愛農学園のおかげだと思う。
確かに農業は大変だ。汚れるし、最近情緒不安定な気候とも仲良くしなくてはいけないし、お金だってかかる。でも、その中でがんばって下さる農家さんがいらっしゃるからこそ、赤ちゃんからお年寄りまで、そして全ての職業の人、私たちみんなが支えられて生かされている。このことを忘れてはいけないし、もっともっとたくさんの人たちに知ってほしい。

 

だからこそ、農業のかっこいいところも知ってもらいたい。まず、みんなの生きるということを支えられること。食を支えられること。あと農業機械を動かしているところもかっこいい。農業していたら自然に筋肉もつく。作業着もかっこいい。少し汚れているとなおかっこいい。そして農業は難しく大変なことだからこそかっこいい。きっともっともっとたくさんあるだろう。

 

たぶん、渋谷のギャルたちはおしゃれができない!と言うと思う。たしかにフリフリのミニスカートはやめた方がいいし、ハイヒールも土から足が抜けなくなるからやめた方がいいだろう。でも私が思うに、農業でも農業らしいかわいくかっこいい恰好はできる。まず作業着。ニッカはデカめがお勧め。あとはヘアスタイル。日差しよけにキャップをかぶり、ゆるまきの下ツインテールにすれば、ポップギャルっぽくなる。
それに太陽の下で農作業をすれば髪は傷むが髪が焼けて茶髪になる。それなら生徒指導の先生にも何も言われないはずだ。なので農業=マイナスのイメージが強いというのももったいないと思う。

 

私はまだ高校を卒業してから具体的に何をしたいかは決まっていないし、農業はとても奥深くて全然わからないけれど、都会に暮らす都会が大好きな人たちと一緒に農業をするのもおもしろそうだと思っている。大規模でなくても、都心のビルの屋上や、都心から少し離れた畑で、ちょっとしたときにいつでも農業と触れ合う場を作れたらと思う。そうすることによって日頃の食事をより一層感謝できるようになると思うからだ。そして、農家さんのありがたさが感じられると思う。

 

でもまだ愛農生活は2年もある。1年でこんなに成長できる場所なのだから、きっと卒業するころにはもっと農業を好きになってすてきなものだと言える自分がいるはずだ。
とにかく、今の私が声を大にしてたくさんの人に伝えたいことは、農業はかけがえのないかっこいいものだということ。そして、農家さんに本当に感謝すべきだということ。私がえらそうに言えることじゃないけれど。